「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)については、誰もが思いつくことです。
当社「日報」でも2月2日(月)~2月12日(木)、下記のようにお伝えしたことがあります。
●2026年2月2日(月)「日報」(為替)
日本政府の為替介入が焦点になっていますが、以下の点が「市場テーマ」になる公算が大きい。
(ⅰ)金融政策
日本銀行は円安によるインフレリスクを安定させるために迅速な利上げに動く必要がある。
(ⅱ)財政政策
高市政府の財政政策のスタンスも日本国債と日本円を安定させる方向に転換する必要がある。
(ⅲ)公的年金基金
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が日本国債を購入すること。GPIFの現行の投資計画では、日本株、外国株、日本債、外国債にそれぞれ25%ずつ、均等に資産を配分し、名目賃金の伸び率を1.9ポイント上回るリターンを目標としている。この配分を変更すれば日本国債と日本円、日本への資金還流を示すシグナルとなる。
当社が「年金運用」に言及したのはこのときだけです。
2月12日以降は(ⅲ)のGPIFを市場テーマから取り下げた。
金融政策、そして財政政策の問題をスリかえることにつながるからです。
そして、7月10日(金)、片山さつき財務大臣兼内閣府特命担当大臣の閣議後の記者会見を契機に、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が円債投資を拡大させるとの思惑が発生した。
7月10日(金)、突如、「GPIFの国内資産の運用を増やす」とか「年金基金が円債を買う」と取り沙汰し、市場の一部が円高・債券高の思惑に動いた。
【1】7月10日(金)の片山さつきの記者会見(GPIF)
7月10日(金)の片山さつき記者会見の質疑応答は次のようなものであった。
●2026年7月10日(金)片山さつき財務大臣兼内閣府特命担当大臣記者会見の質疑応答
(問)先ほど来出ている骨太の方針、取りまとめが進められていると思うんですけれども、この中で成長投資については財政負担を伴うからこそ、その成果を金融面で国民が享受することが重要だと考えます。財務金融担当大臣としての見解をお願いできればと思います。
(答)財務大臣兼金融担当大臣としてお答えをいたします。まさに高市政権の下で日本経済が新たな成長型経済に移行する過程で「金利のある世界」になっておりまして、従来から株式市場も堅調でしたが、このところも非常に堅調に動いております。こういった流れを受けて国民が日本経済の成長の果実を直接に享受できるように、まず家計ですね、そしてGPIFをはじめとする年金基金により日本の金融資産にさらなる投資をしていただくという方向で後押しをする方策を追求したいというふうに考えております。この点に関しては従来から党内でも、それから他党でも、あるいは諮問会議の先生方からも要望が出ておりますが、日本の個人向け国債の商品性見直し、新商品の設計を早急に具体化して進めたいと思っております。日本国債の魅力向上方針ということです。それからGPIFにつきましては私だけでできることではありませんが、政府内でもきちっと意思統一をして話をしていきたいと思っております。財務省・金融庁として今おっしゃったような成長の果実を国民が享受するということは非常に重要でございますので、成長と国民の資産形成の好循環をつくるという新しいパッケージで促進をしてまいりたいというふうに考えています。
【2】7月13日(月)のロイター記事
ロイターは7月13日(月)、「片山さつき財務相が表明した年金基金による国内投資強化策」について次のように伝えた。
政府関係者は(片山さつき)発言の主眼は「骨太ショック」の沈静化にあったと明らかにした。
片山さつき財務相が発言した背景には、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の原案が報じられたことに端を発する金利上昇と円安があったという。
6月30日に公表した原案で、歴代政権が言及してきた「財政健全化」の文字が消失。高市早苗政権が日本銀行の政策金利引き上げに対して否定的との見方も改めて広がり、円安・債券安が一層加速した。経済官庁幹部は「長期金利の上昇をどう抑えるかを検討した結果、突然GPIFの話が出てきた」と明かした。
政府関係者の一人は7月13日(月)、「市場がここまで反応するとは思わなかった」とした上で、「片山氏の発言は運用割合(ポートフォリオ)の変更まで想定したものではなかった」と認めた。「投資強化策について検討する」以上に大きく踏み込んだ発信は難しいとの認識を示した。直ちにGPIF中期目標改定といった具体的な動きにはつながらない見通し。
「金利上昇は許さないという政府のメッセージ発信は成功した。」
「実際にポートフォリオを変更するなどの動きが見えなければ、市場はすぐに失望するだろう。」今後の市場動向によっては具体策の実現を目指す可能性があるともした。
【3】7月14日(火)の片山さつきの記者会見(GPIF)
●2026年7月14日(火)片山さつき財務大臣兼内閣府特命担当大臣記者会見の質疑応答
(問)GPIFについて2点お伺いいたします。先日の会見で大臣、GPIFなどの年金基金によって日本の金融資産をさらに投資していただきたいというふうなことをおっしゃっていたかと思いますけれども、その分、外国資産の保有が減ることになるかと思うんですが、外国債券、外国株、減らす対象として念頭にあるものはありますでしょうか。もう1点、法令などを踏まえるとGPIFの資産構成割合を変更するのは難しいというふうな声も出ておりますけれども、実現可能性についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)実現云々につきましては私も申し上げたとおり、もちろんGPIFにはGPIFのルールがあるのはよく分かっています。昨日、官房長官がおっしゃったように運用環境が大きく変わるなどの可能性があれば、そういうことも含めて適時適切に検証が行われなきゃいけないので、当然そういうことですよ。全く不磨の大典でも何でもないので、環境が変わっているということの中には今のように我々の成長戦略を強力に推し進めれば日本円資産というのは有利になっていく、そういう政策を政権としてとっているんだから可能性としてはそういう検証が行われたり、必要があれば修正が行われるということはあるというのは官房長官がおっしゃったとおりですが、基本的にはGPIFさんのルール、それから厚労省のお考え方とかというのもあるので、いろいろとしっかりと相談はしていきたいと思っております。概観云々につきましては特に今申し上げることはございません。
(問)関連してなんですけれども、大臣、前回の会見の際にGPIFをはじめとする年金基金による日本の金融資産のさらなる投資の後押しをする方向を追求したいとおっしゃって、ちょっと気になるんですけれども、これは国内外の株式債券をいずれも25%とする基本ポートフォリオについて見直しを念頭に置いたご発言だったのでしょうか。
(答)それも昨日多分官房長官に対するご質問で皆さんそれをご確認なさりたかったんだと思うんですけれども、今私が申し上げたことと同じでございまして、基本ポートフォリオに関しては策定時に想定した様々な条件ですね、環境が大きく変わったら、きちっとそれについて適時適切に検証を行わなきゃいけないルールですから、これは不磨の大典ではないので、長官が申し上げているということに尽きると思います。
(問)追加でお尋ねさせていただきたいんですが、昨年9月にまとめられました日米財務大臣の共同声明の中で年金基金等のその他の政府投資主体による海外への投資は引き続きリスク調整後のリターンや分散化の目的で行われ、競争上の目的のために為替レートを目標としないことに合意したというふうにあるんですが、前回の会見でのGPIFに関する発言はこの声明に則ったものでしょうか。
(答)この声明については全く変更はないですし、日米は相変わらず非常に緊密に話をしております。
(問)GPIFに関してなんですけれども、でき得る手段として基本ポートフォリオの見直し以外にどういったものが大臣の中でお考えになられると。
(答)これは主管が厚労大臣でもありますし、そういうことをご疑問の方が多いので官房長官もお答えになったので、それを超えるものを財務・金融の方で申し上げるのもかえってよろしくないので、せっかく今成長戦略で日本の価値が高まる方向に行っているわけですから、そのことからある程度ご想像いただければありがたいと思います。ですから全体の政策としては整合的な方向に行っているので、恐らく市場からもこれだけのご支持があったのではないかと思っております。
【4】ポジショントーク
総じてポジショントークです。勝手気儘に解釈している。
7月10日(金)以降、一部の市場人気が短期的な円高を画策しているように見えます。
片山さつき「恐らく市場からもこれだけのご支持があったのではないかと思っております。」
ブルームバーグ「片山さつき財務相と上野賢一郎厚生労働相は7月14日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の資産構成割合(ポートフォリオ)の修正に前向きな姿勢を示した。発言を受け、円と債券が上昇に転じた。」
ロイター「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用方針をめぐり、関係閣僚が7月14日の閣議後会見で相次いで発言した。直接所管する上野賢一郎厚生労働相がGPIFの基本資産構成割合(基本ポートフォリオ)について、運用環境は策定時の想定から大きく乖離していないと説明する一方、10日の会見で国内金融資産への投資強化を追求すると表明した片山さつき財務相兼金融相は「不磨の大典ではない」と述べ、見直しの可能性を探る考えを示した。両氏ともに検討の必要性には言及したものの、スケジュールを含めた具体策には踏み込まなかった。」
日本経済新聞「上野賢一郎厚生労働相は7月14日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の基本ポートフォリオ(資産構成割合)について『専門的な見地から毎年度、適時適切に検証している。今後必要があれば見直しの検討を進める』と述べた。『現在の運用環境は基本ポートフォリオが想定しているものから大きく乖離(かいり)しているとは考えていない』と話し、早期の基本ポートフォリオの見直しに慎重な姿勢を示した。」
【5】米国債の利回りと為替(ドル円)
本日7月15日(水)は上下があっても「1㌦=162.15円」あたりと考えています。
7月15日(水)「1㌦=162.45-162.15-161.85円」
米国 米30年債 米10年債 米2年債 日本
日付 利回り 利回り 利回り 日付 東京仲値
07/14(26) 5.08 4.58 4.18 07/15 162.45-162.15-161.85
07/13(26) 5.10 4.62 4.26 07/14 162.34
07/10(26) 5.06 4.56 4.21 07/13 162.13