タグ:価格形成の構造とパターン

12月第2週の原油相場は、東京時間午後5時~530分のプラッツ査定時間に売りを浴びた。
アジア査定時間に、原油の売り圧力が強まった。ICE
ブレント原油20262月限が1ドル下落したとき、プラッツドバイ原油20261月限は2ドル下げた。

オマーン原油やドバイ原油、アジア向け中東原油の価格指標がプレミアムを削って下落し、ICEブレント原油とプラッツドバイ原油が<同ザヤ化>した。

日付  ICEブレント原油20263月限 プラッツドバイ原油1月限 価格差

1212日(金)    60.84       60.839        -0.001
12
11日(木)    61.06       61.022        -0.038
12
10日(水)    61.87       61.959        +0.089
12
09日(火)    61.65       62.022        +0.372
12
08日(月)    62.15       62.691        +0.541

1205日(金)    63.39       64.060        +0.670
12
04日(木)    62.86       63.529        +0.669
12
03日(水)    62.28       63.001        +0.721

●ウクライナをめぐる「戦争終結案」と「2026年の原油の供給過剰」の思惑
12月第2週の原油相場で、中東原油のアジア向け指標であるオマーン原油とドバイ原油がプレミアムを削って下落したのは、トランプ米大統領によるウクライナをめぐる「戦争終結案」と「2026年の原油の供給過剰」の思惑がその背景と推定しています。

1215日あたりまで、この思惑は続く可能性が高い。

原油市場の売り方はこの思惑を<将来にわたる推定の基準>にしている。

しかし、当社は「市場の短期バイアスとの闘い」をお伝えし、マーケットの短期的視野に対して、持続可能性の観点からチェックして臨みます。ICEブレント原油先物とプラッツドバイの価格差を見たとき、それは将来に向けて延長する価格形成ではないと考えています。今が短期的な思惑のピークではないかと思います。

●プラッツドバイ原油の価格試算
本日1215日(月)1ドル=156.15155.80155.45円」です。

為替でも原油でも、物事を反転させるのは簡単ではないが、反転を追求しています。

ICEブレント原油先物とプラッツドバイ原油が<同ザヤ>のとき
ちょっと、おおざっぱな試算、1ドル=155.43円で換算
限月                              試算    前日比
ブレント20262月限 61.45=プラッツドバイ原油202512月限 60,070
ブレント20263月限 61.16=プラッツドバイ原油202601月限 59,790円  +70
ブレント20264月限 60.95=プラッツドバイ原油202602月限 59,580円 +110
ブレント20265月限 60.88=プラッツドバイ原油202603月限 59,510円 +100
ブレント20266月限 60.91=プラッツドバイ原油202604月限 59,540円 +160
ブレント20267月限 60.90=プラッツドバイ原油202605月限 59,530円 +100

今週の原油相場は、中東原油のプレミアムが剥落した。

アジア市場のマーカー原油=オマーン原油とドバイ原油は、午後5時~530分の査定時間にそのプレミアムを削って下落した。「ICEブレント原油20262月限」が1ドル下落したとき、「プラッツドバイ原油20261月限」は2ドル下げた。ICEブレント原油先物とプラッツドバイ原油の価格差は同値圏に縮小した。

CMEのデータによれば、ICEブレント原油2番限とプラッツドバイ原油2番限は下記の推移。
日付  ICEブレント20263月限 プラッツドバイ20261月限  価格差
12
12日(金)
12
11日(木)    61.06       61.022        -0.038
12
10日(水)    61.87       61.959        +0.089
12
09日(火)    61.65       62.022        +0.372
12
08日(月)    62.15       62.691        +0.541
12
05日(金)    63.39       64.060        +0.670
12
04日(木)    62.86       63.529        +0.669
12
03日(水)    62.28       63.001        +0.721

オマーン原油やドバイ原油が、午後5時~530分の査定時間にプレミアムを削って下落したことで、ICEブレント原油先物にも売り圧力が強まった。

●ウクライナをめぐる「戦争終結案」と「2026年の原油の供給過剰」の思惑
今週の原油相場で、中東原油のアジア向け指標であるオマーン原油とドバイ原油がプレミアムを削って下落したのは、トランプ米大統領によるウクライナをめぐる「戦争終結案」と「2026年の原油の供給過剰」の思惑がその背景にあると推定しています。

ICEブレント原油先物も同じです。
アジア市場はマーカー原油がプレミアムを削って下落したので、ブレント原油よりも下げ幅が大きくなった。12
15日あたりまで、この思惑は底流する可能性が高い。 

原油市場の売り方は、この思惑を<将来にわたる推定の基準>にしている。

●当社の立場と意見
当社「日報」は「市場の短期バイアスとの闘い」を記してきた。

その点では、為替も原油も同じです。
マーケットの短期的視野に対して、持続可能性の観点からチェックして臨む。

ICEブレント原油先物とプラッツドバイの価格差を見たとき、それが将来に向けて延長する価格形成ではないと考えています。今が短期的な思惑のピークではないかと思うところがあるので、このあたりで輪郭はハッキリするという認識でお伝えしています。

昨日1211日(木)の「日報」では、下記の目安で想定した。
プラッツドバイ原油12月限
ICEブレント原油20262月限 + 25セント
プラッツドバイ原油01月限ICEブレント原油20263月限 + 10セント
プラッツドバイ原油02月限ICEブレント原油20264月限 +  4セント

本日1212日(金)はICEブレントとプラッツドバイ原油が「同値」圏の目安。
プラッツドバイ原油12月限ICEブレント原油20262月限 10セント
プラッツドバイ原油01月限ICEブレント原油20263月限 4セント
プラッツドバイ原油02月限ICEブレント原油20264月限(同値)

このあたりが短期的な思惑のピークであれば、TOCOMのプラッツドバイ原油は、期近が下げても、3番限以降の値動きは小さくなる。

原油相場の上げ下げを、一つの特定の理由で説明することはむずかしい。

ただ、これまで1011月相場を振り返ったとき、
原油相場が弱気の売りに押されたのは、米国トランプ大統領がロシアとの和平に動いたときで、
「先行き2026年の供給過剰」を思惑した売りが活発化した。

今回、今週128日(月)、9日(火)の原油売りも同じです。
米国がウクライナなどに和平案合意を求める中で活発化した。
ウクライナは「重要な局面」を迎えている。

日本にいると、その切迫感や熱量がわかりにくい。

●トランプ大統領の発言(抜粋)
「ポリティコ」(Politico)が米国現地129日早朝に公開したインタビュー

「ロシアが優勢で、戦争開始当初から常にそうだった。この意味で、ロシアははるかに大きく、強い。」「ウクライナの国民と軍には、その勇敢さと戦いぶりに大きな敬意を表する。しかし、一般的にはある時点で規模が物を言う。そして今回は、その規模が圧倒的だ。」

「自分が大統領になるかなり前から、ウクライナは領土を失っていた。海岸線の全体、海沿いの大きな地域を失った。多くの土地、しかも非常に価値のある土地を失った。これでは、勝利とは到底言えないだろう。」「ゼレンスキーは、そろそろ本当に状況を受け入れ始める必要がある。負けている時というのは、そういうものだ。ゼレンスキーは負けている。」

「欧州は話すばかりで、成果を生めていない。これはウクライナのことだ。欧州は口だけで、結果を出せていない。だから戦争が延々と続いている。」

今週128日(月)、9日(火)と続いた原油売りは、米国の戦争終結案=先行き「2026年の原油の供給過剰」を思惑していると思います。

こうしたウクライナをめぐる米国の戦争終結案と、原油の供給過剰の思惑は、10月から活発化し、1011月相場で何度も繰り返している。当社は、こうした単純化した思惑に同調しない。

●本日1210日(水)のドバイ原油
(ⅰ)ウクライナをめぐる米国の戦争終結案と、原油の供給過剰の思惑は10月から活発化し、10-11月相場で何度も繰り返しています。
(ⅱ)今週の原油下げで、ドバイ原油のプレミアムが縮小した。

1210日(水)プラッツドバイ原油の試算
プラッツドバイ原油12月限 「62.04 48セント」=62.52ドル
プラッツドバイ原油01月限 「61.74 37セント」=62.11ドル
プラッツドバイ原油02月限 「61.56 27セント」=61.83ドル

為替、1210日(水)「1ドル=156.95156.60156.25円」

1ドル=156.60円」で換算します。
プラッツドバイ原油12月限62.52ドル  61,580 
プラッツドバイ原油01月限62.11ドル  61,170      +70円高
プラッツドバイ原油02月限
61.83ドル  60,900円     +330円高

本年(202510月から11月の原油相場では、米国がロシアとの和平に動いたとき、
原油相場の弱気は売りを仕掛けてきた。

「トランプとロシア・プーチンがにぎる」
2026年は原油の供給過剰になる」

今回、128日(月)も同じ。
「トランプが和平案合意を求めている」ことで、原油売りが活発化した。

米国がロシアとの和平案合意を求める中、ウクライナは「重要な局面」を迎えている。
スターマー英首相、ドイツのメルツ首相、フランスのマクロン大統領は128日(月)、ロンドンでウクライナのゼレンスキー大統領と会談した。

ロイターによれば、ウクライナは129日(火)に、修正和平案を米国と共有すると伝えた。

129日(火)プラッツドバイ原油の試算
プラッツドバイ原油12月限 「62.44 70セント」=63.14ドル
プラッツドバイ原油01月限 「62.12 54セント」=62.66ドル
プラッツドバイ原油02月限 「61.90 37セント」=62.27ドル

1ドル=155.84円」で換算します。
プラッツドバイ原油12月限63.14ドル  61,890     -850円安
プラッツドバイ原油01月限62.66ドル  61,410    -900円安
プラッツドバイ原油02月限
62.27ドル  61,030    -790円安

当社「日報」は10月から11月、トランプに歩調を合わせて、市場の思惑人気が「政治化」したと指摘した。

石油市場では「トランプとロシア・プーチンがにぎる」という思惑原油売り
農産物市場では「トランプと中国・習近平がにぎる」思惑大豆買い

今週もロシア/ウクライナの「和平」交渉を背景に、原油相場で弱気の売りが続いた。
一方、農産物市場では昨日123日(水)の時間外取引で、「米国大豆の中国向け船積みが増加し」「年内でも12月中旬までに、中国向け大豆が米ガルフ積みで少なくとも6隻が予定されている」と取り沙汰し、CBOT大豆20261月限を買う動きがあった。「米国大豆が中国向けに12月中旬までの船積みで6隻」・・こんなしょぼい話にも大豆買いの思惑が追随する。

原油売りも、大豆買いも、先入観に合致するものだけを見ており、バランスに欠いている。

【1】季節的要素=北半球の冬季需要、クリスマス、年末年始
中東原油の需要が旺盛で、精製マージンが堅調なとき、原油相場が下げるとは考えにくい。

(1)12月、原油処理量が増加、稼働率の上昇
米国製油所の原油需要(原油処理量)は増加している。稼働率は94.1%に上昇。
米国の原油在庫が増加したのは、原油輸出=タンカーの配船と積取の問題です。

米国の週間原油需給
Source: U.S. Energy Information Administration
単位:日量 バレル
期間  米国原油生産 原油処理量 稼働率  原油輸入  原油輸出   米国原油在庫
11/22-11/28 1382
万  16876千 94.1  5981千  3613  427503
11/15-11/21 1381
万  16443千 92.3  6436千  3598  426929
11/08-11/14 1383
万  16232千 90.0  5950千  4158千  424155
11/01-11/07 1386
万  15973千 89.4  5222千  2816  427581
10/25-10/31 1365万  15256千 86.0  5924千  4367千  421168
10/18-10/24 1364
万  15219千 86.6  5051千  4361千  415966
10/11-10/17 1363
万  15730千 88.6  5918千  4203千  422824
10/04-10/10 1364
万  15130千 85.7  5525千  4466千  423785
09/27-10/03 1363
万  16297千 92.4  6403千  3590  420261
09/20-09/26 1351
万  16168千 91.4  5833千  3751  416546
09/13-09/19 1350
万  16476千 93.0  6495千  4487千  414754
09/06-09/12 1348
万  16424千 93.3  5692千  5277千  415361
08/30-09/05 1350
万  16818千 94.9  6271千  2745  424646
08/23-08/29 1342
万  16869千 94.3  6742千  3884  420707

08/16-08/22 1344万  16880 94.6  6234千  3810  418292
08/09-08/15 1338
万  17208千 96.6  6497千  4372千  420684

(2)国際的に本年の精製マージンは高い
本年は精製マージンは、国際的に、前年と比較して好転しています。

(3)中東-東アジアの大型タンカー(VLCC)の運賃高
アジア向け中東原油は活発な荷動きが続いている。
船腹需給が引き締まっており、タンカー運賃指標(WS)が高い。

「中東―中国」のワールドスケール(WS
11/24
11/28週平均値    137.29
11/17
11/21週平均値    129.60
11/10
11/14週平均値    114.59
11/03
11/07週平均値    111.43
10/27
10/31週平均値    114.37
10/20
10/24週平均値    89.61
10/13
10/17週平均値    94.92
10/06
10/10週平均値    76.48
09/29
10/03週平均値    86.81
09/22
09/26週平均値    100.80
09/15
09/19週平均値    103.69
09/08
09/12週平均値    81.53
09/01
09/05週平均値    66.87
08/25
08/29週平均値    66.36
08/18
08/22週平均値    61.86

【2】国際原油取引の指標=ICEブレント原油先物
原油相場の市場人気はとても弱いが、当社は大丈夫と考えています。
11月を引き継いで(ⅰ)レンジ下辺の目安を維持し(ⅱ)買いの目標を追求します。 

ICEブレント原油先物 2025123日(水)        12/3東京1730
限月       始値   高値   安値  帳入値  終値   前日比 アジア終値
02月限 2026  62.56  63.37  62.18  62.67  62.75  +0.36   63.76
03
月限 2026  62.02  62.91  61.78  62.28  62.31  +0.37   62.80
04
月限 2026  61.86  62.66  61.55  62.06  62.08  +0.37   62.56
05
月限 2026  61.78  62.54  61.48  61.97  61.99  +0.31   62.44
06
月限 2026  61.74  62.52  61.47  61.94  61.93  +0.26   62.46
04
月限 2026  61.80  62.49  61.47  61.92  61.93  +0.27   62.45
05
月限 2026  61.73  62.41  61.47  61.89  61.90  +0.25   62.33
06
月限 2026  61.73  62.38  61.45  61.85  61.84  +0.21   62.35

【3】アジア向け中東原油の価格指標
本日124日(木)のプラッツドバイ原油の目安
プラッツドバイ原油12月限=ICEブレント原油20262月限 + 66セント」
プラッツドバイ原油01月限=ICEブレント原油20263月限 + 72セント」
プラッツドバイ原油02月限=ICEブレント原油20264月限 + 57セント」

↑このページのトップヘ