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中東原油の価格フォーミュラは2つの構成要素で成り立っています。
(ⅰ)市場価格(マーカー原油のスポット価格の1カ月間の平均値)
(ⅱ)調整項(産油国が油種ごとに決める)

アジア向け中東原油のマーカー原油はオマーン原油とドバイ原油。
オマーン原油の査定機関は「ガルフ・マーカンタイル取引所」(GME)、
ドバイ原油は「プラッツ社」。査定時間はGMT 08:30(東京時間午後530分)
査定機関による「1カ月間の平均値」が基準になりますが、これに産油国が決めた油種ごとの「調整項」を加減して輸出価格(本船渡し条件)が確定する。

サウジ原油のアジア向け5月積み輸出価格はこの価格フォーミュラの特徴がよく表れている。

(ⅰ)5月の市場価格は、GMEオマーン原油もプラッツドバイ原油も下落したが、
(ⅱ)サウジアラムコが「46日通知した5月積み調整項」が引き上げられていたので、
(ⅲ)アジア向け5月積み輸出価格は「前月比+14.356ドル高」となった。
(ⅳ)このあと65日頃に通知される「7月調整項」ではさらに引き下げの公算が大きい。

6月第1週の原油市場は「日報」(石油-2)で記します。

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20265月査定価格                     前月比
2026
5月 プラッツ・ドバイ原油の平均値       103.147ドル  -2.550ドル安
2026
5GMEオマーン原油マーカープライス平均値  101.996ドル  -2.739ドル安
2026
5月 ドバイおよびオマーン原油の平均値     102.572ドル  -2.644ドル安

サウジ原油 20265月積み アジア向け輸出価格(FOB
油種             平均値     調整項   輸出価格(本船渡し) 前月比
アラブ・スーパーライト   102.572ドル 21.15 123.722ドル   +14.356ドル高
アラブ・エキストラライト  102.572ドル 20.00 122.572ドル   +14.356ドル高
アラブ・ライト       102.572ドル 19.50 122.072ドル   +14.356ドル高
アラブ・ミディアム     102.572ドル 17.75 120.322ドル   +14.356ドル高
アラブ・ヘビー       102.572ドル 16.40 118.972ドル   +14.356ドル高

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20264月査定価格                     前月比
2026
4月 プラッツ・ドバイ原油の平均値       105.697ドル -22.827ドル安
2026
4GMEオマーン原油マーカープライス平均値  104.735ドル -19.313ドル安
2026
4月 ドバイおよびオマーン原油の平均値     105.216ドル -21.070ドル安

サウジ原油 20264月積み アジア向け輸出価格(FOB
油種             平均値     調整項   輸出価格(本船渡し) 前月比
アラブ・スーパーライト   105.216ドル + 4.15 109.366ドル   -19.070ドル安
アラブ・エキストラライト  105.216ドル + 3.00 108.216ドル   -19.070ドル安
アラブ・ライト       105.216ドル + 2.50 107.716ドル   -18.570ドル安
アラブ・ミディアム     105.216ドル + 0.75 105.966ドル   -19.070ドル安
アラブ・ヘビー       105.216ドル ― 0.60 104.616ドル   -19.070ドル安

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20263月査定価格                     前月比
20263月 プラッツ・ドバイ原油の平均値       128.524ドル +60.120ドル高
2026
3GMEオマーン原油マーカープライス平均値  124.048ドル +55.898ドル高
2026
3月 ドバイおよびオマーン原油の平均値     126.286ドル +58.009ドル

サウジ原油 20263月積み アジア向け輸出価格(FOB
油種             平均値     調整項   輸出価格(本船渡し) 前月比

アラブ・スーパーライト   126.286ドル + 2.15 128.436ドル   +58.209ドル高
アラブ・エキストラライト  126.286ドル + 1.00 127.286ドル   +58.209ドル
アラブ・ライト       126.286ドル + 0   126.286ドル   +57.709ドル
アラブ・ミディアム     126.286ドル ― 1.25 125.036ドル   +57.609ドル
アラブ・ヘビー       126.286ドル ― 2.60 123.686ドル   +57.609ドル高


サウジアラビアは20101月から、米国向け原油輸出の価格フォーミュラを変更する。
アーガスのASCIArgus Sour Crude Index)を採用する。

新たな価格指標の採用について
これまで米国産WTI原油のスポット取引価格に連動させていた価格フォーミュラを、同国のメキシコ湾岸地域で活発に取引されるマーズ原油、ポセイドン原油およびサザン・グリーンキャニオン原油の平均価格に連動するものに変更した。

それまでのWTI連動フォーミュラでは米国Platts社が発表するWTI現物価格を指標としていたが、新たな価格フォーミュラではArgus Mediaが発表する上記3油種の平均価格インデックスであるASCIArgus Sour Crude Index)を指標として採用する。つまり、サウジアラビアは今回のフォーミュラ改訂で、指標とする原油種だけでなく、指標を提供する査定機関も同時に変更した。

ASCIの要素となる3油種は、世界最大の原油消費国である米国で最も活発に取引される原油種であり、他の油種と比較して生産者の数も取引参加者の数も多いと言われている。このため、ASCIは生産地が限られているWTIよりも、現物原油の需給を色濃く反映すると考えられる。さらに、3油種の生産地が分散していることから、局地的な自然災害など対する価格の弾力性も高い。

また、生産拠点が分散しているということは、特定の生産者の恣意が及びにくい。加えて、ASCIを構成する3油種の生産には、OPECやその他の主要な産油国による増減産の影響が及ばない。さらに、ASCIを構成する3油種は、硫黄分の多いサワー原油であるのに対し、WTIは硫黄含有量の少ないスウィート原油である。サウジ産を含む中東原油のほとんどがサワー原油である。

サウジアラビアによるフォーミュラ改訂は、指標となる原油種が変更された以上に、算定方法の異なる指標が採用されたという点で大きな意味を持つ。

これまで利用されていたPlattsによるWTI現物価格は、一般に「マーケット・オン・クローズ(MOC)」という手法で決定されている。MOCとは、査定機関が独自に定めた30分程度の時間のなかで希望販売価格と希望買取価格を集め、同時間が終了する時点に最も近いタイミングで行なわれた約定価格をその日の価格とする手法。極めて短時間のサンプリング調査である上、たった一件の約定がその日の指標を決定するため、指標を意図的な水準に導くための取引が行われる危険性がある。

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