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2026228日、米国とイスラエルがイランを攻撃

戦争開始からわずか1週間で、中東原油のアジア向け指標(オマーン原油とドバイ原油)は「ブレント原油+10ドル」にふっ飛んだ。中東原油の「安定供給」の前提がふっ飛んだことを意味します。

ペルシャ湾~ホルムズ海峡は、アジア向けの原油供給地として知られているが、それだけではない。 LPGやガソリン、ディーゼル、ジェット燃料、バンカーオイル(船舶燃料)も供給している。さらにプラスチックや樹脂の原料となるナフサなどを生産する石油化学産業も抱えている。

「安定供給」の前提が損なわれ、インフレ圧力が昂進している

戦争は世界の資源エネルギー市場を大きく変えた。 IEA(国際エネルギー機関)加盟国は3月第3週、価格高騰を抑えるため緊急備蓄から4億バレルを放出することで合意したが、それでも国際取引の指標であるブレント原油は1バレル=100ドルを上回ったまま推移し、アジア向け中東原油は「ブレント原油+50ドル」のプレミアムに高騰している。

今回の戦争は世界石油市場の歴史で最大の「供給混乱」を生んでいる。 報道によればインドでは商業用LPGボンベが通常の23倍に高騰し、タイの農家はディーゼル油が不足しているという。 ジェット燃料は国際的に1バレルあたり200ドルを超えた。

世界経済は新型コロナウイルス禍やロシアのウクライナ侵攻、さらに米国による一方的な関税引き上げ、そうした危機を切り抜けつつあったが、そのとき米イラン戦争が始まった。 中東原油の「安定供給」の懸念からインフレ圧力が高まっている。

こうした情勢でぼんやりWTIを眺めていたのでは何の役にも立たない。物事は具体的に見る必要があります。本日323日(月)の「日報」は、わが国連休中のデータから送信します。

●アジア市況、シンガポールの石油製品
アジア太平洋地域の石油・ガスはシンガポールがハブとなり、アジア各地から集積され、域内外に輸出される。オマーン原油はガルフ・マーカンタイル取引所(GME)のマーカー価格を記載します。J4月限、K5月限です。

シンガポールの石油製品は、米イラン戦争による「安定供給」の懸念から、ケロシン、ガスオイルの中間留分が「1バレル200ドル」を超えて高騰。アジア市況の「ナフサ-ガソリン」も高い。

シンガポールの石油製品市況
 
      オマーン    ナフサ   ガソリン  ジェット燃料 ガスオイル
日付      原油    NAF-SIN  GL92-SIN  ケロシン   0.5 S
03/20
26)  157.94 K    133.14   145.00   212.65    219.67
03/19
26)  166.96 K    136.81   137.50   225.62    221.58
03/18
26)  153.12 K    122.47   137.60   198.86    196.09
03/17
26)  152.58 K    121.47   134.00   200.17    195.91
03/16
26)  147.79 K    123.92   139.80   199.42    188.61

03/1326)  144.36 K    123.81   136.00   199.66    193.91
03/12
26)  134.75 K    114.58   135.30   209.83    196.85
03/11
26)  118.73 K    102.92   112.00   157.12    163.20
03/10
26)  114.85 K     97.67   113.00   142.92    160.20
03/09
26)  124.68 K    114.14   130.00   185.64    183.89

03/0626)  100.31 K    89.36   113.20   155.82    154.19
03/05
26)  94.47 K    87.69   106.10   194.60    140.98
03/04
26)  85.93 K    87.25   99.00   225.44    126.96
03/03
26)  82.09 K    82.58   95.50   131.02    117.51
03/02
26)  80.40 K    79.47   90.30   117.51    112.16
.
              
2/28 米国とイスラエルがイランを攻撃し、ハメネイ師を殺害。
02/2726)  70.36 J    69.72   79.30    93.45    91.39
02/26
26)  70.05 J    69.19   79.25    92.66    91.69
02/25
26)  70.06 J    67.39   78.95    92.67    91.40
02/24
26)  70.42 J    67.14   78.85    92.74    91.90
02/23
26)  69.96 J    67.22   77.40    91.81    91.13

要点
(ⅰ)「日本経済新聞」などわが国の報道機関(いわゆるオールド・メディア)は「WTI=国際指標」という信仰が根強く、そうしたWTI偏重に反省もない。このため千年1日の如く、20年前と同じ世界観で「WTI 100ドル」をめぐる価格予想に夢中になる。しかし、WTIは米国オクラホマ州クッシングが受渡地点です。現下の中東の「安定供給」の指標になるものではない。戦争開始から3週間も経ってそれがわからないようではオールド・メディアの劣化も相当深刻です。

(ⅱ)安定供給とは、たとえば水道のハンドルを回せば水が出るように、ガス栓をヒネればガスが出るように、すべての企業活動の前提になるものです。現在の相場は値段が高いとか安いとかの一般的な需給ではなく、「安定供給」が焦点になっていることに注意が必要です。

(ⅲ)安定供給が損なわれるとすべての領域で影響が連鎖し、文字通り「大変な」相場になる。そのとき小さな個人投資家が目先の高安に目を奪われていると「場違い」の思惑になります。

(ⅳ)これらについて、当社「日報」ですべてお伝えすることはむずかしい。できないことがあります。

●国際原油取引の指標
国際原油取引の指標はICEブレント原油です。
中東原油の安定供給が損なわれているため、中東原油はブレント原油に対し過去に例のないプレミアムを形成しています。

本日323日(月)の要点
ICE
ブレント原油20265月限 週末終値109.55ドル、
本日23日(月)は110ドル以上で推移するか?

ICEブレント原油20266月限 週末終値104.41ドル、
本日23日(月)は105ドル以上で推移するか?

ICEブレント原油先物 2026323日(月)
限月       始値   高値   安値  帳入値  終値
05
月限 2026  113.76
    110ドル以上
06
月限 2026  107.50    105ドル以上
07
月限 2026  101.36
08
月限 2026  96.89
09
月限 2026  93.21
10
月限 2026  89.96
11
月限 2026  88.01
12
月限 2026  86.50

ICEブレント原油先物 2026320日(金)
限月       始値   高値   安値  帳入値  終値  前日比
05
月限 2026  107.17  113.11  105.05  112.19  109.55  +1.96
06
月限 2026  102.60  107.37  100.47  106.41  104.41  +1.34
07
月限 2026  97.25  101.30  95.24  100.33   98.48  +0.44
08
月限 2026  92.35  96.28  90.84  95.37  93.81  +0.48
09
月限 2026  89.17  92.79  87.89  91.86  90.00  -0.06
10
月限 2026  86.74  90.03  85.62  89.17  87.18  -0.75
11
月限 2026  85.14  88.02  84.02  87.29  85.15  -0.97
12
月限 2026  83.72  86.47  82.81  85.87  84.42  +0.02

ICEブレント原油先物 2026319日(木)
限月       始値   高値   安値  帳入値  終値  前日比
05
月限 2026  109.78  119.13  103.76  108.65  107.59  -2.06
06
月限 2026  105.17  112.13  99.51  103.78  103.07  -1.99
07
月限 2026  100.27  104.69  94.97  98.46   98.04  -2.02
08
月限 2026  96.34  98.91  91.02  94.05  93.33  -2.45
09
月限 2026  92.50  94.63  88.17  90.89  90.06  -2.36
10
月限 2026  89.95  91.46  85.90  88.39  87.93  -1.70
11
月限 2026  87.87  89.23  84.28  86.57  86.12  -1.49
12
月限 2026  87.51  87.51  83.01  85.18  84.40  -1.66

ICEブレント原油先物 2026318日(水)
限月       始値   高値   安値  帳入値  終値  前日比
05
月限 2026  103.66  111.90  100.34  107.38  109.65  +6.15
06
月限 2026  99.55  106.96  96.70  102.92  105.06  +5.51
07
月限 2026  95.15  101.60  92.59  98.16  100.06  +4.95
08
月限 2026  91.42  96.83  89.12  94.01  95.78  +4.43
09
月限 2026  88.53  93.09  86.43  90.76  92.42  +3.98
10
月限 2026  86.17  90.10  84.29  88.19  89.63  +3.46
11
月限 2026  84.41  87.86  82.70  86.26  87.61  +3.30
12
月限 2026  82.83  86.20  81.37  84.74  86.06  +3.25

GMEオマーン原油20265月限「マーカープライス」
ガルフ・マーカンタイル取引所(GME)オマーン原油の基準は、東京時間午後530分のマーカープライスです。サウジ原油のアジア向け輸出価格(本船渡し条件)の構成要素の一つ。

GMEオマーン原油1番限=「ブレント原油20265月限+50ドル」の水準です。
ブラッツドバイ原油1番限20263月限もまた基本的に同じです。

日付        GMEオマーン原油 マーカープライス
3/23(月)2026

3/20(金)2026   157.94ドル (ブレント5月限 50.32ドル
3/19
(木)2026   166.96ドル (ブレント5月限 52.60ドル
3/18
(水)2026   153.12ドル (ブレント5月限 50.37ドル
3/17
(火)2026   152.58ドル (ブレント5月限 48.61ドル
3/16
(月)2026   147.79ドル (ブレント5月限 42.22ドル

3/13(金)2026   144.36ドル (ブレント5月限 42.74ドル
3/12(木)2026   134.75ドル (ブレント5月限 37.05ドル
3/11
(水)2026   118.73ドル (ブレント5月限 28.96ドル
3/10
(火)2026   114.85ドル (ブレント5月限 23.66ドル
3/09
(月)2026   124.68ドル (ブレント5月限 17.31ドル

3/06(金)2026   100.31ドル (ブレント5月限 14.53ドル
3/05
(木)2026   94.47ドル (ブレント5月限 10.43ドル●安定供給に懸念
3/04
(水)2026   85.93ドル (ブレント5月限 1.84ドル
3/03
(火)2026   82.09ドル (ブレント5月限 1.32ドル
3/02
(月)2026   80.40ドル (ブレント5月限 0.55ドル

ICEブレント原油とGMEオマーン原油の価格差
2026320日(金)東京時間午後530分の価格
320日(木)     5月限    6月限    7月限    8月限
ブレント原油     107.62   103.64    98.36    93.81
オマーン原油     157.94   153.07   147.75   143.34
価格差        +50.32   +49.43   +49.39   +49.53

●プラッツドバイ原油
プラッツドバイ原油1番限(20263月限)は、1カ月間の平均値。
米イラン戦争が長期化するとき、あるいは、ホルムズ海域の原油積取の停止が長期化するとき、
中東原油の「安定供給」が長期にわたって損なわれる場合、1番限の「ブレント原油+50ドル」のプレミアムは、2番限に波及する可能性があります。

CMEプラッツドバイ原油
日付       3月限    4月限   5月限   6月限   7月限   8月限
3/23
(月)2026

3/20(金)2026  134.068  112.835  100.221  95.665  92.656  90.278
3/19
(木)2026  137.822  108.650  96.458  93.349  91.017  88.909
3/18
(水)2026  136.421  107.284  97.693  93.535  90.847  88.623
3/17
(火)2026  122.841  103.499  94.669  91.190  88.552  86.465
3/16
(月)2026  129.895  102.448  92.755  88.904  86.610  84.586

3/13(金)2026  127.861  103.871  95.669  92.059  89.820  87.365
3/12
(木)2026  123.055  100.348  93.125  89.951  87.473  85.297
3/11
(水)2026  113.548  89.358  85.170  83.831  82.112  80.708
3/10
(火)2026  105.134  84.557  80.918  79.567  78.275  77.022
3/09
(月)2026  107.550  93.603  88.364  86.298  84.157  82.168

3/06(金)2026  99.142  86.965  82.770  80.087  78.302  76.913
3/05
(木)2026  89.312  79.390  76.379  74.732  73.781  72.970
3/04
(水)2026  81.115  73.736  72.387  71.516  70.977  70.334
3/03
(火)2026  80.391  75.001  73.580  72.554  71.746  70.845
3/02
(月)2026  76.533  73.711  72.752  71.931  71.199  70.492

●大型タンカー(VLCC)スポット運賃市況
原油タンカー(VLCC)のスポット運賃が高値に舞い上がっており、わが国の調達業務もむずかしい情勢です。

「ペルシャ湾(ラスタヌラ)積み―中国」のワールドスケール(WS
 出所:海事プレス ONLINE
03/1603/20週平均値 
03/09
03/13週平均値    436.53

03/0203/06週平均値    455.76
02/23
02/27週平均値    209.47

02/1602/20週平均値    156.35
02/09
02/13週平均値    135.96
02/02
02/06週平均値    139.09
01/26
01/30週平均値    103.70
01/19
01/23週平均値    123.95
01/12
01/16週平均値    103.19
01/05
01/09週平均値    61.58

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現在の相場は、中東の資源エネルギーの「安定供給」が焦点です。
水道のハンドルを回せば水が出るように、ガス栓をヒネればガスが出るように、安定供給はすべての企業活動の前提です。


今朝のプラッツドバイ原油1番限(20263月平均価格)は前日比-7.054ドル安であった。

●プラッツ社のドバイ原油1番限査定価格の下落について
プラッツ社の日々の査定価格はFreeで公開されていない。
「日本経済新聞」のドバイ原油317日(火)価格は153.65153.75ドル(前日比5.80ドル高)、RIM(リム情報開発)の3171730157.69ドル(同4.38ドル高)であった。ガルフ・マーカンタイル取引所(GME)オマーン原油のマーカー価格は152.58ドル(同4.84ドル高)をつけた。いずれも317日(火)査定時間、中東原油1番限は上昇していた。
しかし、プラッツドバイ原油1番限は17日(火)、前日比-7.054ドル安に下落した。

プラッツドバイ原油
日付      3月限    4月限   5月限  6月限   7月限   8月限
3/18
2026
3/17
2026)  122.841  103.499  94.669  91.190  88.552  86.465
3/16
2026)  129.895  102.448  92.755  88.904  86.610  84.586
3/13
2026)  127.861  103.871  95.669  92.059  89.820  87.365
3/12
2026)  123.055  100.348  93.125  89.951  87.473  85.297

●当社の考え
当社「日報」では36日(金)、健康診断で大阪に帰った日の朝、
3
5日(木)のアジア査定時間(東京時間午後530分)において、GMEオマーン原油、そしてドバイ原油1番限が「前日比10ドル高にふっ飛んだ!」とお伝えした。
つまり、ここで中東原油の「安定供給」の見通しが立たなくなったことを意味します。

日付       GMEオマーン原油 マーカープライス
3/18(水)
3/17
(火)    152.58ドル (ブレント5月限 48.61ドル
3/16
(月)    147.79ドル (ブレント5月限 42.22ドル

3/13(金)    144.36ドル (ブレント5月限 42.74ドル
3/12(木)    134.75ドル (ブレント5月限 37.05ドル
3/11
(水)    118.73ドル (ブレント5月限 28.96ドル
3/10
(火)    114.85ドル (ブレント5月限 23.66ドル
3/09
(月)    124.68ドル (ブレント5月限 17.31ドル

3/06(金)    100.31ドル (ブレント5月限 14.53ドル
3/05
(木)    94.47ドル (ブレント5月限 10.43ドル
3/04
(水)    85.93ドル (ブレント5月限 1.84ドル
3/03
(火)    82.09ドル (ブレント5月限 1.32ドル
3/02
(月)    80.40ドル (ブレント5月限 0.55ドル

(1)昨年202568月の中東原油のタイト感
振り返れば昨年202568月も、ロシアやイランなどに対する度重なる経済制裁によって、中東産原油のアジア向け供給のタイト感を買ったことがあった。そのとき、オマーン原油やドバイ原油は「ブレント原油+2ドル」を超すプレミアムに伸びた。

しかし、「ブレント原油+2ドル」を超すプレミアムは傘になった。
アジア向け中東サワー原油のタイト感を手掛かりにしたときでも、国際的な「安定供給」が維持されておれば、価格比から限度があります。
「中東原油のアジア向け供給のタイト感」「中東原油に対するアジア需要が旺盛」という需給要因であれば「ブレント原油+2ドル超」のプレミアムが限度です。

日付       ブレント原油10月限  ドバイ原油8月限  価格差
8
29日(金)2025     68.34      70.41      +2.07
8
28日(木)2025     67.57      69.73      +2.16
8
27日(水)2025     67.06      69.23      +2.17
8
26日(火)2025     68.24      70.38      +2.14
8
25日(月)2025     67.93      70.18      +2.25
8
22日(金)2025     67.71      70.31      +2.60
8
21日(木)2025     67.29      69.94      +2.65
8
20日(水)2025     66.47      68.89      +2.42
8
19日(火)2025     65.98      67.95      +1.97
8
18日(月)2025     65.78      67.64      +1.86

(2)本年35日(木)以降「ブレント原油+10ドル」超のプレミアム
本年(202635日(木)、アジア向け中東原油の価格指標、オマーン原油、ドバイ原油は「ブレント原油+10ドル」を超すプレミアムにふっ飛んだ。

これは中東原油の「安定供給」の条件がふっ飛んだことを意味します。
単なる需給の問題ではなく「安定供給」の前提そのものが崩れたということです。
国際的な原油取引において「安定供給」の前提があれば、足元のプレミアムにも限度がありますが、「安定供給」の前提が破壊されるとアジア向け中東原油は「ブレント原油+10ドル」に跳ね上げ、さらに「ブレント原油+20ドル」・・「ブレント原油+50ドル」になる。

オマーン原油やドバイ原油、さらにOPECバスケット価格が「ブレント原油+10ドル」以上のプレミアムを買うということは、そういうことだと思います。前提も限度も働いていない世界です。アジアの石油会社の原油調達業務が危機となった状態です。

(3)安定供給が崩れた局面の価格形成
わが国報道機関(いわゆるオールド・メディア)は、千年1日の如く20年前の前例をボンヤリと眺めて、WTI100ドル」をめぐる価格予想に夢中になっている。

しかし、ここ20年で中国の台頭、新興国市場の拡大など、世界が変わっている。サウジアラビアの米国向け価格指標もWTIからメキシコ湾のASCIに変わった。中東原油のアジア向け「安定供給」の前提が崩れているとき、WTI予想に意味はない。

それは、同じように、原油タンカー(VLCC)のスポット運賃にも言える。
昨日317日(火)のニュースで「VLCC市況、中東―中国171ポイント上昇。フジャイラ攻撃が影響か」(日本海事新聞)があったが、ホルムズ海峡が事実上封鎖されている中で、指標の航路であるペルシャ湾(ラスタヌラ)積みの輸送はほとんど成立しておらず、実勢を反映しにくいのではないかど思います。中東-中国のVLCCスポット運賃の指標が3月16日(月)WS 599.44に伸びたからと言って、反対に、仮にこのあとWS 427に下げた場合でも、安定供給が損なわれた世界の価格指標に「前日比」の比較の意味はほとんどない。WS 599がWS 427になれば、運賃指標の「下落」なのか?

大型タンカー(VLCC)スポット運賃市況
「中東―中国」のワールドスケール(WS
 出所:海事プレス ONLINE

03/1603/20週平均値 
03/09
03/13週平均値    436.53

03/0203/06週平均値    455.76
02/23
02/27週平均値    209.47

02/1602/20週平均値    156.35
02/09
02/13週平均値    135.96
02/02
02/06週平均値    139.09
01/26
01/30週平均値    103.70
01/19
01/23週平均値    123.95
01/12
01/16週平均値    103.19
01/05
01/09週平均値    61.58

タンカーの手配がペルシャ湾を回避して、サウジ西岸にシフトしている動きがあるとすれば、直ちに実勢はわかりにくい。

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中東原油の「安定供給」の前提が崩れている。
そのなかで、価格形成の秩序とパターンを見出すことに困難を伴います。

今朝のCMEプラッツドバイ原油1番限(20263月平均価格)は、前日比-7.054ドル安に下落した。しかし、これを「下落」と言えるかどうかは疑問です。

つまり、アジア向け中東原油が「ブレント原油+10ドル」を超えている状況で、
仮に「ブレント原油+50ドル」が「ブレント原油+30ドル」になっても、この水準は「安定供給」が損なわれた価格です。それを手掛かりに、売ったり買ったりできますか? それによって、取引量が増加するとは思えない。

本日318日(水)のドバイ原油の試算
3月18日(水)午後5時30分のアジア査定価格は午後6時30分にウェブサイトで更新します。

このあと「日報」(石油-2)で3月18日発表財務省貿易統計「2月原油CIF」をお伝えします。 


今週の原油相場は下記の指標で推移している。

●わが国石油会社の購入原油価格の基準とCIF予想
日付   オマーン ドバイ 平均値  東京仲値  円貨/KL換算    CIF参考値
3/13
26
3/12
26134.75 139.92 $137.335  159.09円 137,410/KL → 142,410/KL
3/11
26118.73 119.58 $119.155  158.23円 118,580/KL → 123,580/KL
3/10
26114.85 115.01 $114.930  157.73円 114,010/KL → 119,010/KL
3/09
26124.68 124.86 $124.770  158.71円 124,540/KL → 129,540/KL

わが国石油会社の購入原油価格の基準は今週、115ドル~140ドルで推移している。
3月12日(木)のドバイ原油の査定価格が130ドル台に高騰しても、今朝5:18の「日本経済新聞」の見出しは「NY原油、100ドル再接近」であった。

アジア向け中東原油が「ブレント原油20265月限+40ドル」で推移しても、それが「日本経済新聞」の記事になることはない。DMEオマーン原油は312日(木)、1番限マーカープライスが「134.75ドル」に続騰したが、取引所がそれを公表してもニュースにならなかった。メディアにとっては「WTIだけが原油相場」なのだろう。

本日313日(金)のアジア原油市場で、オマーン原油、ドバイ原油が「140ドル台」になっても、わが国メディアはそれを報道しない可能性が高い。彼らはWTI信者。「見たいものだけ」を見て、先行きの「WTI予想」に夢中になる。

●原油市場の「あたらしい秩序」と「パターン」
今週の「日報」では、原油市場の「あたらしい秩序」と「パターン」はまだ明確ではない、と記してきた。313日(金)でも、まだ明確ではない。依然として「ガルフ・マーカンタイル取引所(GME)オマーン原油」と「CME プラッツドバイ原油」の価格形成の構造が異なっている。

それでも、GMEオマーン原油とプラッツドバイ原油は、日を追って1番限から2番限へと、値をそろえてきている。

CME プラッツドバイ原油
プラッツドバイ原油は3月の月初、ブレント原油に対してディスカウントであった。
3
12日(木)になってようやく2番限以降もプレミアムに転換した。

202632日(月) ディスカウントであった。
ドバイ原油3月限=ICEブレント原油20265月限 1.207ドル
ドバイ原油4月限=ICEブレント原油20266月限 2.449ドル
ドバイ原油5月限=ICEブレント原油20267月限 2.058ドル
ドバイ原油6月限=ICEブレント原油20268月限 1.649ドル
ドバイ原油7月限=ICEブレント原油20269月限 1.281ドル

2026312日(木) ようやく、2番限以降がプレミアムに転換した。
ドバイ原油3月限= 3月一カ月間の平均値
ドバイ原油4月限=ICEブレント原油20266月限 3.718ドル
ドバイ原油5月限=ICEブレント原油20267月限 0.245ドル
ドバイ原油6月限=ICEブレント原油20268月限 0.401ドル
ドバイ原油7月限=ICEブレント原油20269月限 0.673ドル

GME オマーン原油
ガルフ・マーカンタイル取引所(GME)オマーン原油は一貫してプレミアムの価格構造です。
1
番限だけでなく、2番限以降も大幅なプレミアムを買っています。

日付       GMEオマーン原油 マーカープライス
3/13(金)

3/12(木)    134.75ドル (ブレント5月限 37.05ドル
3/11
(水)    118.73ドル (ブレント5月限 28.96ドル
3/10
(火)    114.85ドル (ブレント5月限 23.66ドル
3/09
(月)    124.68ドル (ブレント5月限 17.31ドル

3/06(金)    100.31ドル (ブレント5月限 14.53ドル
3/05
(木)    94.47ドル (ブレント5月限 10.43ドル
3/04
(水)    85.93ドル (ブレント5月限 1.84ドル
3/03
(火)    82.09ドル (ブレント5月限 1.32ドル 
3/02
(月)    80.40ドル (ブレント5月限 0.55ドル

ICEブレント原油とGMEオマーン原油の価格差
312日(木)     5月限    6月限    7月限    8月限
ブレント原油     97.70    94.05    90.41    87.35
オマーン原油     134.75   132.12   129.48   127.09
価格差        +37.05   +38.07   +39.07   +39.74

311日(水)     5月限    6月限    7月限    8月限
ブレント原油     89.77    86.33    83.35    80.88
オマーン原油     118.73   116.20   113.53   111.22
価格差        +28.96   +29.87   +30.18   +30.34

310日(火)     5月限    6月限    7月限    8月限
ブレント原油     91.19    87.10    83.46    80.67
オマーン原油     114.85   109.61   104.84   101.12
価格差        +23.66   +22.51   +21.38   +20.45

309日(月)     5月限    6月限    7月限    8月限
ブレント原油     107.37   100.84    94.94    90.16
オマーン原油     124.68   119.19   114.87    112.22
価格差        +17.31   +18.35   +19.93   +22.06

●要点
(ⅰ)プラッツドバイ原油は、ようやく312日(木)になって、2番限以降がプレミアムを買うようになった。しかし、DMEオマーン原油では1番限だけでなく2番限、3番限、4番限、5番限と、軒並み各限月が「ブレント原油+40ドル」近傍のプレミアムを買っている。
(ⅱ)DMEオマーン原油とプラッツドバイ原油の間には、その価格構造に大きなひらきがある。

当社は、原油市場の「あたらしい秩序」と「パターン」は まだ明確ではないと考えています。
米イラン戦争が長期化するとき、あるいは、ホルムズ海域の原油積取の停止が長期化するとき、中東原油の安定供給が損なわれるので1番限の「ブレント原油+40ドル」のプレミアムは、2番限、3番限へ波及していく可能性が高い。

大型タンカーVLCCのスポット運賃市況と共に、アジア向け中東原油市場の価格構造とパターンを見出したいと考えています。

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●大型タンカー(VLCC)スポット運賃市況

(ⅰ)中東-極東航路、最高水準が続く
(ⅱ)タンカー運賃も、わが国石油会社の調達業務や 原油CIFに影響します。

大型タンカー(VLCC)スポット運賃市況/「中東―中国」のワールドスケール(WS
出所:海事プレス ONLINE
03/09
03/13週平均値
03/02
03/06週平均値    455.76
02/23
02/27週平均値    209.47
02/1602/20週平均値    156.35
02/09
02/13週平均値    135.96
02/02
02/06週平均値    139.09
01/26
01/30週平均値    103.70
01/19
01/23週平均値    123.95
01/12
01/16週平均値    103.19
01/05
01/09週平均値    61.58

12/1512/19週平均値    120.75
12/08
12/12週平均値    125.30
12/01
12/05週平均値    124.55
11/24
11/28週平均値    137.29
11/17
11/21週平均値    129.60
11/10
11/14週平均値    114.59
11/03
11/07週平均値    111.43
10/27
10/31週平均値    114.37
10/20
10/24週平均値    89.61
10/13
10/17週平均値    94.92
10/06
10/10週平均値    76.48

●中東積みVLCC、ペルシャ湾外で成約
310日ホルムズ海域の長期停止の影響について」(Argusが サウジアラムコのAminNasser CEOに取材)の続報です。

中東情勢悪化で、中東からの原油輸出をペルシャ湾外の港にシフトする動きが強まっている。

3月第1週末には、ギリシャ船主のVLCCFujairahフジャイラ港(UAEアラブ首長国連邦)―温山(オンサン)港(韓国)航路で運賃指数WS 500の高値で成約したようだ。同成約は日建て用船料換算で約45万ドルと、中東―極東航路で最高水準。しかし、ブローカー関係者は「激しい市場の変化が続く中、今後の市況を見通す材料にはなりづらい」と話す。

同関係者によると直近ではWS 450前後の成約が複数報告されており、310日の中東―極東航路の市況はWS 470程度と評価される。ホルムズ海峡封鎖により、ペルシャ湾外のフジャイラ(Fujairah)港や サウジアラビアのヤンブー(Yanbu)港、オマーンのミナ・アル・ファハル(Mina Al Fahal)港が主要な積み地として浮上している。

ギリシャ船主に加えて中国系、一部ノルウェー系の船主も交渉を進めている模様。Fujairahはオマーン湾に面し、陸上パイプライン経由で主に「マーバン原油」を輸出できる。また、Yanbuから積み出せるのは「アラブ・ライト」「アラブ・エキストラ・ライト」が中心。
(出所:日本海事新聞2026312日をもとに、当社で一部修正した。)

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本日313日(金)のTOCOMプラッツドバイ原油は、2番限20264月限、3番限同5月限がはじめて、ブレント原油に対してプレミアムに上昇したので、期近から高くなると思います。

米イラン戦争が長期化するとき、あるいは、ホルムズ海域の原油積取の停止が長期化するとき、中東原油の安定供給が損なわれるので1番限の「ブレント原油+40ドル」のプレミアムは、2番限、3番限へ波及していく可能性が高い。原油市場の「あたらしい秩序」と「パターン」は 次第に明らかになっていきます。

本日313日(金)のアジア向け中東原油の指標について「午後530分のアジア査定価格」で確認します。
午後630分には、ウェブサイトで更新します。

Argusが 310日(火)、サウジアラムコのAmin Nasser最高経営責任者(CEO)に取材

サウジアラムコのAmin Nasser最高経営責任者(CEO)は310日、ホルムズ海峡の原油輸送が途絶え続ければ、世界の石油市場と経済全体が「壊滅的な結果」に直面すると述べた。

228日に米国とイスラエルによるイランへの共同攻撃が引き起こした中東戦争により、ホルムズ海峡の輸送はほぼ停止し、中東湾岸の港湾から積取られた原油が足止めされ、世界有数の産油国の一部は主要輸出ルートから遮断されている。

この混乱に加え、貯蔵施設の急速な満杯化により、OPECプラス加盟国の一部は既に生産量の削減を余儀なくされている。

2月の生産量に基づくArgus算出によると、39日時点で、サウジアラビア、UAE、クウェート、バーレーン、イラクの原油生産量は合計で日量620万~690万バレル減少している。

「今回の混乱は、海運や保険業界だけでなく、航空、農業、自動車、その他の産業にも深刻な連鎖反応を引き起こしている」とNasser氏は述べた。「この混乱が長引けば長引くほど、世界経済への影響はより深刻になるだろう。」

サウジアラビアは、イランによるミサイルやドローンによる中東湾岸のエネルギーインフラへの攻撃による安全保障上の脅威を受け、複数の沖合油田を閉鎖し、減産を開始したと、事情に詳しい関係筋がArgusに語った。

関係筋によると、アラムコはサファニヤ油田(Safaniya)、マルジャン油田(Marjan)、ズルフ油田(Zuluf)、アブサファ油田(Abu Safa)を閉鎖し、生産量は日量200万~250万バレル減少すると推定されている。

サファニヤ油田(Safaniya)はアラブ・ヘビーを生産し、マルジャン油田(Marjan)、ズルフ油田(Zuluf)、アブサファ油田(Abu Safa)はアラブ・ミディアムを生産してきた。

Amin Nasser最高経営責任者(CEO)はこれらの数字を確認せず、油田の名称も明らかにしなかった。同氏は、同社が日量700万バレルの東西パイプラインを利用してサウジアラビアの紅海沿岸ヤンブー(Yanbu)へ原油を輸送し、ホルムズ海峡を回避できる代替輸送経路を提供しているとだけ述べた。

「主にアラブ・ライトと一部のアラブ・エキストラ・ライトを西部に供給している。ミディアムとヘビーの地域もあるが、需要に対し十分な量があるので当面は利用していない」とNasser氏は述べた。

アラムコは、国内外の貯蔵能力も活用して顧客への供給を支援している。「顧客の需要の大部分を満たしている」とNasser氏は述べた。

中東―中国航路のスポット運賃市況は32日(月)ワールドスケール(WS410.44と、前週末の224.72から急騰した。ただし、イランへの攻撃開始以来、実際の成約は確認されていない。
出所:海事プレス ONLINE

VLCCスポット運賃市況については
2026
225日「タンカー(VLCC)運賃WS200超えの高騰」
https://shikyo.officialblog.jp/archives/14255989.html

「中東―中国」のワールドスケール(WS
03/02
03/06週平均値
02/23
02/27週平均値    209.47

02/1602/20週平均値    156.35
02/09
02/13週平均値    135.96
02/02
02/06週平均値    139.09
01/26
01/30週平均値    103.70
01/19
01/23週平均値    123.95
01/12
01/16週平均値    103.19
01/05
01/09週平均値    61.58

12/1512/19週平均値    120.75
12/08
12/12週平均値    125.30
12/01
12/05週平均値    124.55
11/24
11/28週平均値    137.29
11/17
11/21週平均値    129.60
11/10
11/14週平均値    114.59
11/03
11/07週平均値    111.43
10/27
10/31週平均値    114.37
10/20
10/24週平均値    89.61
10/13
10/17週平均値    94.92
10/06
10/10週平均値    76.48
09/29
10/03週平均値    86.81
09/22
09/26週平均値    100.80
09/15
09/19週平均値    103.69
09/08
09/12週平均値    81.53
09/01
09/05週平均値    66.87
08/25
08/29週平均値    66.36
08/18
08/22週平均値    61.86

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