- 日本銀行の植田和男総裁は12月1日(月)の名古屋講演、12月4日(木)の参院財政金融委員会、12月8日(月)のFTインタビューと、繰り返し「中立金利」に言及し、「次回利上げのときに(中立金利と)どれくらい距離があるのかという点に関して考えをもう少しはっきりと明示」するとしていた。
- それが12月12日(金)のロイター記事では「複数の関係筋の話として」「日本銀行は12月18、19日の金融政策決定会合で中立金利の最新推計を公表しない見通し」となった。ひとつの事前のリークだと思います。
- 当社の立場は「日本銀行が12月18、19日の金融政策決定会合で中立金利の言及を取り止める」ことについて、それは近年の経済金融情勢を踏まえた判断として首肯する。世界的にも中央銀行の趨勢だろうと理解します。
ちょっと複雑なので説明します。
●日銀は「中立金利」の公表を取り止める模様
当社は、12月の植田総裁の発言を手掛かりにして、フォワード・ガイダンスのような「中立金利」に期待したが、日本銀行はそれを取り止める模様です。
12月12日午後 5:23のロイター記事(和田崇彦, 木原麗花)
日銀、次回会合で中立金利の推計公表せず 利上げは経済・物価次第=関係筋
日本銀行は12月18、19日の金融政策決定会合で中立金利の最新推計を公表しない見通しだ。
市場では今後の利上げパスに関して中立金利の推計に注目が向かっているが、日銀は特定の水準をあらかじめ中立金利と定めることはせず、引き続き経済・物価の情勢を点検しながら、政策運営をしていく方針だ。中立金利の推計値は主要なコミュニケーションツールとは位置付けない。複数の関係筋が明らかにした。
日銀は内部で中立金利の推計の精緻化に取り組んでいるが、データを最新にしても推計値の幅が広いことに変化はないとの声が出ている。金融政策運営に当たり、中立金利の推計値を参照するものの、利上げで貸出動向など金融環境に変調が生じないかなど、実際の政策判断は経済・物価情勢をもとに行っていく。
金融環境は引き続き緩和的だ。実質金利は大幅なマイナス圏で推移し、日銀短観では0.5%に利上げした後も、金融機関の貸出態度や民間の資金繰り判断はともに金融環境が緩和的なことを示している。金融機関の貸出は増加を続けており、日銀では0.75%に利上げしても、貸出の増加ペースに変化はないとの見方が出ている。0.75%は引き続き緩和的な水準だという。
植田和男総裁は今月、次回利上げすることがあれば中立金利との距離についてその時点での考えをもう少し明示したいとの考えを示している。
日銀は昨年8月、金融政策の多角的レビューの一環で公表した論文で、景気に対して緩和的でも引き締め的でもない実質金利である自然利子率がマイナス1―プラス0.5%との推計を示した。日銀が2%物価目標の達成を実現したとすると、中立金利は1―2.5%となる。日銀では、市場の一部で推計の下限に当たる1%が政策金利の到達点と捉えられていることに違和感を指摘する向きがある。日銀は、今後の経済や物価情勢次第で1%を上回って政策金利を引き上げていく可能性を排除していない。政策金利がどの水準になれば変調が出てくるのか、慎重に見極めていく方針だ。
●中央銀行の世界的趨勢=フォワードガイダンスは避ける
トランプ米大統領は12月2日(火)、次期連邦準備制度理事会(FRB)議長の候補を「来年早々に」発表すると述べた。国家経済会議(NEC)委員長のケビン・ハセット氏を有力候補として示唆し、「尊敬される人物」と称賛した。
そのハセット国家経済会議(NEC)委員長が12月8日(木)、連邦準備制度理事が向こう6カ月の金利誘導見通しを示すのは無責任だとし、経済指標に沿って柔軟に判断する重要性を強調した。
日本銀行が「中立金利」の公表を取り止める意向になったのも、同じ要素を反映している。米FRBは連邦公開市場委員会(FOMC)で、将来の金利水準をめぐるドット・プロットを公表しているが、ハセット氏はこれに反対した。
ハセット氏は「FRB議長の仕事は、データを注視し、それに応じて政策を調整し、なぜその行動を取るのか説明することだ。」「したがって、『今後6カ月にこうする』とあらかじめ言明するのは無責任だろう。」「利下げ回数の話で期待を裏切りたいわけではないが、私が言えることはデータを注視する必要があるということだ」と述べた。
このハセット氏の発言は正論だと思います。
- 日本銀行の中立金利をめぐる推計も、米FRBのドット・プロットも、
足もとの現状認識の変化を基準にして将来を推定する。 - 短期的な特徴を将来向けて増幅させる恐れがある。
メディアも市場人気も、それに追随する可能性が高い。 - このようなフォワードガイダンスは、市場とのコミュニケーションに役立たない。
そのような政策ガイダンスは出さない方がよい。 - 金融政策運営はデータを注視し、それに応じて調整し、なぜその行動を取るのか説明することが重要です。
日本銀行が「中立金利」を精緻に求め、それを公表すると、メディアや市場人気はそれを単純化して追従する公算が大きい。そうなると、日銀の金融政策が「自分の尾を追う犬」になる。
データを注視し、それに応じて政策を判断しなければならない。
当社「日報」も、「中立金利」に手掛かりを求めるのは止める。
データに基づいて、これまでの目標を追求します。
(ⅰ)消化する必要がある商いは「155円台」で消化する。
(ⅱ)植田日銀は金融政策を変更したと考えています。
(ⅲ)為替レート変動の重要な要因は内外金利差、さらには先行きの金融政策スタンスの差です。
(ⅳ)為替レートの安定は、経済の持続的成長にとって、そして社会の安定にとって不可欠です。
●米国債の利回りと為替(ドル円)
本日12月15日(月)のドル円レンジは「中立金利」の手掛かりがなくてもこのあたり。
12月15日(月)「1ドル=156.15-155.80-155.45円」
米国 米30年債 米10年債 米2年債
日本
日付 利回り 利回り 利回り 日付 東京仲値
12/12(25) 4.85 4.19 3.52 12/15 156.15―155.80―155.45
12/11(25) 4.79 4.14 3.52 12/12 155.71
12/10(25) 4.78 4.13 3.54 12/11 155.87
12/09(25) 4.80 4.18 3.61 12/10 156.88
12/08(25) 4.81 4.17 3.57 12/09 156.03
12/05(25) 4.79 4.14 3.56 12/08 155.24
12/04(25) 4.76 4.11 3.52 12/05 155.12
12/03(25) 4.73 4.06 3.49 12/04 155.30
12/02(25) 4.74 4.09 3.51 12/03 155.84
12/01(25) 4.74 4.09 3.54 12/02 155.70
11/28(25) 4.67 4.02 3.47 12/01 155.87
11/27(24) Thanksgiving
Day 11/28 156.63
11/26(25) 4.64 4.00 3.45 11/27 155.91
11/25(25) 4.67 4.01 3.43 11/26 156.38
11/24(25) 4.68 4.04 3.46 11/25 156.87
11/21(25) 4.71 4.06 3.51 11/24 振替休日
11/20(25) 4.73 4.10 3.55 11/21 157.49
11/19(25) 4.75 4.13 3.58 11/20 157.29
11/18(25) 4.74 4.12 3.58 11/19 155.54 植田/片山/城内 3者会談
11/17(25) 4.73 4.13 3.60 11/18 155.34
植田/高市会談
11/14(25) 4.74 4.14 3.62 11/17 154.70
11/13(25) 4.70 4.11 3.58 11/14 154.74
11/12(25) 4.67 4.08 3.56 11/13 155.03
11/11(25) Veterans Day 11/12 154.28
11/10(25) 4.71 4.13 3.58 11/11 154.36
11/07(25) 4.70 4.11 3.55 11/10 153.93
11/06(25) 4.69 4.11 3.57 11/07 153.24
11/05(25) 4.74 4.17 3.63 11/06 154.04
11/04(25) 4.67 4.10 3.58 11/05 153.49
11/03(25) 4.69 4.13 3.60 11/04 154.38
10/31(25) 4.67 4.11 3.60 11/03 文化の日
10/30(25) 4.65 4.11 3.61 10/31 154.10
10/29(25) 4.61 4.08 3.59 10/30 152.80
植田総裁記者会見
10/28(25) 4.55 3.99 3.47 10/29 151.60
10/27(25) 4.57 4.01 3.48 10/28 152.57
10/24(25) 4.59 4.02 3.48 10/27 153.00