当社では前もって、427日(月)~30日(木)は「月末納会と月替わりのややこしいところ」と想定してきた。国際指標のICEブレント原油期近6月限が「1ドル」動いたからといって、オマーン原油やドバイ原油が同じ値幅を動くわけではない。

昨日427日(月)のアジア査定時間(東京時間午後530分)は、ICEブレント原油期近6月限が「108.20ドル」に続伸したが、アジア向け中東原油は逆に大幅下落となった。3月相場でプレミアムを買っていた中東原油が、420日以降はディスカウントに下げている。

ガルフ・マーカンタイル取引所(GME)のオマーン原油6月限はその典型です。4月24日(金)は「106.53ドル」であったが、昨日27日(月)は「102.37ドル」、-4.16ドル安に下げた。そして、ICEブレント原油6月限に対するGMEオマーン原油6月限の価格差は「-5.83ドル」のディスカウントに拡大。中東原油の「価格形成の秩序とパターン」は大きく変化した。

GMEオマーン原油1番限の下げ
ブレント原油は「108ドル台」に上伸したが、オマーン原油は「前日比-4.16ドル安」に下げた。

GMEオマーン原油20266月限のマーカープライス
東京時間午後530分の査定価格
日付    ICEブレント原油6月限  GMEオマーン原油6月限マーカープライス

4/30(木)
4/29
(水)
4/28
(火)
4/27
(月)   108.20ドル     102.37ドル     5.83ドル

4/24(金)   106.68ドル     106.53ドル     0.15ドル
4/23(木)   103.28ドル     104.79ドル     1.51ドル
4/22
(水)    99.72ドル      99.26ドル     0.46ドル
4/21
(火)    94.70ドル      92.01ドル     2.69ドル
4/20
(月)    95.89ドル      97.51ドル     1.62ドル

4/17(金)    98.50ドル     101.91ドル     3.41ドル
4/16(木)    96.42ドル     101.25ドル     4.38ドル
4/15
(水)    95.12ドル     100.99ドル     5.87ドル
4/14
(火)    98.56ドル     102.92ドル     4.36ドル
4/13
(月)   102.13ドル     105.83ドル     3.70ドル

4/10(金)    97.53ドル     100.19ドル     2.66ドル
4/09(木)    98.02ドル     101.88ドル     3.86ドル
4/08
(水)    95.48ドル      99.06ドル     3.58ドル
4/07
(火)   110.43ドル     119.31ドル     8.88ドル
4/06(月)   108.89ドル     118.72ドル     9.83ドル

4/02(木)   108.27ドル     117.99ドル     9.72ドル
4/01
(水)   101.97ドル     107.19ドル     5.22ドル

●プラッツドバイ原油も下落
同じように、ドバイ原油スポット価格のモニタリング価格も27日(月)「104.17ドル」に下げた。プラッツドバイ原油では2番限5月限も、ブレント原油に対してディスカウントの価格形成に移行した。

プラッツドバイ原油2番限20265月限
日付    ICEブレント原油7月限  プラッツドバイ原油5月限
4/30(木)
4/29
(水)
4/28
(火)
3/27
(月)   101.69ドル     100.349ドル     1.341ドル

4/24(金)    99.13ドル      98.190ドル     0.940ドル
4/23(木)    99.35ドル      98.038ドル     1.312ドル
4/22
(水)    96.18ドル      94.250ドル     1.930ドル
4/21
(火)    93.24ドル      90.332ドル     2.908ドル
4/20
(月)    90.43ドル      87.841ドル     2.589ドル

4/17(金)    86.51ドル      84.669ドル     1.841ドル
4/16(木)    93.57ドル      93.355ドル     0.215ドル
4/15
(水)    90.81ドル      91.502ドル     0.692ドル
4/14
(火)    90.42ドル      90.964ドル     0.544ドル
4/13
(月)    93.47ドル      94.667ドル     1.197ドル

4/10(金)    90.28ドル      90.765ドル     0.485ドル
4/09(木)    90.47ドル      91.883ドル     1.413ドル
4/08
(水)    90.26ドル      90.723ドル     0.463ドル
4/07
(火)   100.06ドル     102.373ドル     2.313ドル
4/06(月)   100.12ドル     102.577ドル     2.457ドル

4/02(木)    99.44ドル     101.989ドル     2.549ドル
4/01
(水)    93.50ドル      94.320ドル     0.820ドル

●あたらしいサプライチェーンの形成
月末の1番限取引最終日[納会]にかけて、中東原油が独自の値動きになるのはよくあるが、
現在の4月末の相場では、ブレント原油の上伸に対して、中東原油は「ブレント原油に対するディスカウントを拡大」している。

振り返って3月相場では、中東原油の「安定供給」が損なわれたショックで、中東原油にプレミアムをつけて買い争った。アジア向け中東原油の価格指標は319日にかけて「ブレント原油+50ドル」のプレミアムにぶっ飛んだ。

これに対して、4月相場は逆の動きになっている。中東原油のプレミアムが縮小するだけでなく、ブレント原油に対して大幅なディスカウントに転落した。中東原油の価格形成に根本的な変化が進展している。

これについて、当社は次のように推測しています。

4月相場で、中東から離れて、あたらしいサプライチェーンの形成が進展したことを反映している。つまり、中東原油にプレミアムをつけて買い争うのではなく、大西洋や北米など、他の調達先に切り替えたことで、中東原油のプレミアムが剥落し、大西洋や北米の原油指標が上伸している。アジアの石油精製会社が、あらたな調達先にシフトしていることが「価格形成の秩序とパターン」を変化させていると思います。

もはや中東原油の「安定供給」を前提にした従来のサプライチェーンマネジメントは成り立たなくなった。米国とイスラエルによるイラン攻撃から2カ月が経過し、ホルムズ海峡の通航再開には相当の時間がかかることがわかってきた。機雷除去が必要なら、その進捗を待たなければならない。船舶保険の引受再開、船社・船長の安全判断、港湾・燃料補給体制の回復など、さまざまな条件がそろわなければならないこともわかってきた。いつまでも「ホルムズ海峡の再開を待つ」では、イスラエル、米国、イランに振り回されるばかりになる。

アジア主要国の石油会社は、中東から離れて、全世界に調達先を求めて、輸送ルート、サプライチェーン全体の見直しを進展させた。4月相場で、大西洋のブレント原油が上昇し、その一方で、中東原油のプレミアムがディスカウントに転落したのも、中東原油に代わるあたらしい調達先とその輸送が具体的に進捗したためだろうと思います。

現在の4月から5月に向けた価格形成は、あたらしいサプライチェーンの構築として分析します。3月相場のように中東原油のプレミアムがリードした相場から、4月下旬には、大西洋や北米の原油が価格形成を牽引するようになった。4月末から5月相場に向けて、そうした価格形成の秩序の変化を視野に入れて臨みます。

アジア市場の査定時間は東京時間午後530分、午後630分には本日の査定価格を更新します。