一般的に言うなら、国際原油取引の指標であるICEブレント原油先物が上昇しておれば、中東原油のアジア向け価格指標のGMEオマーン原油先物やプラッツ社のドバイ原油査定価格も高いのが普通です。しかし、今週の相場は中東原油のアジア向け指標が大幅に下落した。オマーン原油やドバイ原油の1番限が週初から「約-50ドル」下げた。

20263月第3週の中東原油1番限の「-50ドル」下げを解明しておく必要がある。

当社「日報」では324日(火)、中東原油の「安定供給」を焦点になっているとき、国際原油取引の指標であるICEブレント原油先物では「39日の値段がサポートの基準」とお伝えした。

しかし、アジア向け中東原油を考えるとき、それだけでは十分でない。今週の中東原油のアジア向け指標、その1番限の「-50ドル」下げを解明し、「月末納会」と「月替わり」を控えた価格形成を考える必要があると思います。

【データ】わが国石油会社の購入原油価格の基準とCIF予想
日付 オマーン ドバイ 平均値   東京仲値 円貨/KL換算     CIF参考値
省略

●典型は傍流に現れる=GMEオマーン原油
当社の世界観として「典型は傍流に現れる」と考えています。
ガルフ・マーカンタイル取引所(GME)のオマーン原油先物はその「典型」です。

GMEオマーン原油「-50ドル」下げ
GMEオマーン原油先物は、サウジ原油の輸出価格(本船渡し条件)の価格フォーミュラを構成している一つです。
オマーン原油5月限は先週「ブレント原油5月限 +50ドル」のプレミアムを買っていた。
それが今週「-50ドル」下げて、中東原油のプレミアムが消失した。
2
番限以降は一時「ディスカウント」に下げるときがあった。

【データ】ICEブレント原油とGMEオマーン原油マーカープライスの価格差
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26日(木)     5月限    6月限    7月限    8月限
ブレント原油     105.76   100.20    95.45    91.69
オマーン原油     112.42   100.36    96.03    92.49
価格差         +6.66    +0.16    +0.57    +0.80

325日(水)     5月限    6月限    7月限    8月限
ブレント原油     98.26    94.68    90.95    87.63
オマーン原油     109.55    87.05    82.42    78.38
価格差        +11.29    -7.63    -8.53    -9.23

324日(火)     5月限    6月限    7月限    8月限
ブレント原油     101.89    98.33    94.09    90.42
オマーン原油     139.64   114.39   110.15   106.43
価格差        +37.75   +16.06   +13.06   +16.01

323日(月)     5月限    6月限    7月限    8月限
ブレント原油     114.08   109.47   103.89    99.06
オマーン原油     160.20   141.47   136.39   130.43
価格差        +46.12   +32.00   +32.50   +31.37

●プラッツドバイ原油も1番限が下落
プラッツドバイ原油1番限は「1カ月間の平均値」です。
ドバイ原油も3月第3週は1番限が下げた。

【データ】CMEプラッツドバイ原油
日付   3月限    4月限   5月限   6月限   7月限   8月限   9月限
3/27
3/26
   129.994  105.188  98.016  94.189  90.996  88.680  87.085
3/25
   130.932  99.614  93.125  89.939  87.639  85.701  84.369
3/24
   133.596  109.030  97.445  92.737  90.060  87.940  86.548
3/23
   131.969  105.705  92.726  88.575  86.066  84.123  82.872

3/20   134.068  112.835  100.221  95.665  92.656  90.278  88.800
3/19
   137.822  108.650  96.458  93.349  91.017  88.909  87.221

●当社の仮説
これは当社の仮説です。
3
月第3週のアジア向け中東原油1番限の下げは、中東原油3月積みアジア向け輸出価格(FOB)が確定する前の「調整」と推測しています。月末に基準値が確定するので、それまでの45営業日で「アジア向け輸出価格の調整を行っている」可能性が高い。

つまり、こういうことです。プラッツドバイ原油3月限は319日(木)時点で、月間平均値が「137ドル82セント」に達していた。GMEオマーン原油1番限のマーカープライスでも同様です。中東原油のアジア向け指標がこのまま「ブレント原油+50ドル」水準で推移すると、原油の国際価格に著しい不均衡を拡大させる可能性があった。3月のオマーン原油、ドバイ原油の平均値が「1バレル140ドル台」に乗せると、アジア向け3月積みのサウジ原油「アラブ・ライト」「アラブ・エキストラライト」の輸出価格(FOB)も「1バレル140ドル台」で確定させることになってしまう。中東原油のアジア向け3月タームは「2月価格の2倍」になる。

【データ】サウジ原油 20262月積み アジア向け輸出価格(FOB
油種            平均値    調整項   輸出価格(本船渡し)
アラブ・スーパーライト   68.277ドル + 1.95 70.227ドル
アラブ・エキストラライト  68.277ドル + 0.80 69.077ドル
アラブ・ライト       68.277ドル + 0.30 68.577ドル
アラブ・ミディアム     68.277ドル ― 0.85 67.427ドル
アラブ・ヘビー       68.277ドル ― 2.20 66.077ドル

【データ】サウジアラムコの「調整項」
アジア向け調整項
サウジ原油のアジア向け本船渡し価格(FOB)は「ドバイ原油およびオマーン原油の1カ月間の平均値」に対する「各油種の調整項」で表示される。
油種          2月積み    3月積み    4月積み
スーパーライト    +1.95ドル  +2.15ドル  +4.15ドル
エキストラライト   +0.80ドル  +1.00ドル  +3.00ドル
ライト        +0.30ドル  ±0.00ドル  +2.50ドル
ミディアム      -0.85ドル  -1.25ドル  +0.75ドル
ヘビー         2.20ドル  +2.60ドル ―0.60ドル
西ヨーロッパ向け調整項
サウジ原油の北西ヨーロッパ向けは「ブレント原油(ICE)」に対する調整項で表示される。
油種          2月積み    3月積み    4月積み
エキストラライト   +1.25ドル  +0.95ドル  +4.45ドル
ライト        -0.35ドル  -0.65ドル  +2.85ドル
ミディアム      -1.15ドル  -1.45ドル  +2.05ドル
ヘビー        -3.55ドル  -3.85ドル ―0.35ドル
米国向け調整項
米国向けは「ASCI」(米メキシコ湾岸地域で取引されるマーズ、ポセイドンおよびサザン・グリーンキャニオン原油の平均値)に対する調整項で表示される。
油種          2月積み    3月積み    4月積み
エキストラライト   +4.05ドル  +3.95ドル  +5.95ドル
ライト        +2.20ドル  +2.10ドル  +4.60ドル
ミディアム      +1.70ドル  +1.40ドル  +3.40ドル
ヘビー        +0.95ドル  +0.65ドル  +2.65ドル

米国とイスラエルがイランを攻撃し、中東原油の「安定供給」が損なわれたことによって、3月原油相場で中東原油のアジア向け価格指標は「ブレント原油+50ドル」に噴き上げた。

「ブレント原油+50ドル」で「オマーン原油およびドバイ原油の1カ月間の平均値」が確定するなら、サウジ原油の3月積みアジア向け輸出価格は「1バレル138ドル」や「140ドル台」になる。国際原油取引に過度の不均衡が発生する。

当社では「ブレント原油+50ドル」の中東原油は、国際原油取引の持続可能性の観点から問題を含んでいたと考えています。それゆえ3月第3週、「月末の基準値」と「月替わり」前に、中東原油1番限の「調整」が始まったと考えています。

それはOPECバスケット価格でも同じです。OPECバスケット価格は323日(月)の「145ドル24セント」をピークに、325日(水)には「116ドル96セント」に下げた。いかにアジア向け中東原油の「安定供給」がブチ壊れているとはいえ、アジア向け輸出価格「1バレル140ドル台」、前月比「2倍」には「調整」が働く。

そして、現下の中東危機と「安定供給」の問題が長期化するとき、今後の中東原油の「安定供給」のプレミアムをどのように評価するのか、2番限以降の課題として継続します。

325日(水)~331日(火)のオマーン原油、ドバイ原油について
現在の原油相場は「安定供給」が焦点です。
中東原油の「安定供給」が焦点になっているとき、ICEブレント原油「3月9日」がサポートの基準です。

(ⅰ)アジア向け中東原油を考えるとき、「39日のサポート」だけでは役に立たない。
中東原油=「ブレント原油+50ドル」のプレミアムは、国際市場の不均衡、持続可能性の観点から問題があった。325日(水)~331日(火)は「中東原油1番限の調整」が進展している。
オマーン原油、ドバイ原油1番限は「110ドル」近傍に下げて、3月平均値を「調整」をしていると考えています。

(ⅱ)中東危機が長期化するとき「安定供給」のプレミアムをどう評価するか?
2番限以降の価格形成の問題として引き継ぎます。
現状の「ブレント/ドバイ」の価格差は、今後の前提にしない。
「月末の確定日」と「月替わり」に伴う変化は、前もって、理路整然と理屈をつけるのがむずかしい。ここ45営業日は先入観を持たず、2番限以降の価格形成がどう変化するのか、その変化に注目します。