一般的に言うと、ブレント原油が上昇すれば、中東原油も高いのが普通です。しかし、3月23日(月)~27日(金)の一週間は、アジア向け中東原油の指標が大幅に下落した。
この期間にドバイ原油やオマーン原油の1番限は「約-50ドル」下げた。
当社は、この3月第3週の下げについて、アジア向け中東原油の「調整」と考えています。
3月中東原油の「基準値」はおそらく「1バレルあたり125~127ドル」と推測します。
そのうえで、4月相場に向けた目安を予想します。
●OPECバスケット価格(ORB)
3月第2週、OPEC加盟国の代表12油種の加重平均値は下記ように下落した。
OPECバスケット価格は「3月=125~127ドル」あたりに向けて水準を調整した。
OPEC Basket Price
3/27(金)
3/26(木) 122.16ドル
3/25(水) 116.96ドル
3/24(火) 132.21ドル
3/23(月) 145.24ドル
3/20(金) 142.86ドル
3/19(木) 146.05ドル
●典型は傍流に現れる=GMEオマーン原油の「-50ドル」下げ
典型は傍流にあらわれる。
ガルフ・マーカンタイル取引所(GME)のオマーン原油先物はその「典型」です。
GMEオマーン原油は、サウジ原油の輸出価格の「価格フォーミュラ」を構成要素です。
GMEオマーン原油は3月19日(木)の高値「166.96ドル」から「-55ドル以上」下げた。
通常、「調整」の値幅は数ドルですが、今回の3月相場の「調整」は「50ドル」!!
それによって、オマーン原油も3月一カ月間の平均値を「125ドル」あたりに修正した。
ICEブレント原油とGMEオマーン原油マーカープライスの価格差
3月27日(金) 5月限 6月限 7月限 8月限
ブレント原油 110.39 103.61 97.82 93.45
オマーン原油 119.52 107.80 102.59 98.60
価格差 +9.13
+4.19 +4.77 +5.15
3月26日(木) 5月限 6月限 7月限 8月限
ブレント原油 105.76 100.20 95.45 91.69
オマーン原油 112.42 100.36 96.03 92.49
価格差 +6.66
+0.16 +0.57 +0.80
3月25日(水) 5月限 6月限 7月限 8月限
ブレント原油 98.26 94.68 90.95 87.63
オマーン原油 109.55 87.05
82.42 78.38
価格差 +11.29 -7.63 -8.53
-9.23
3月24日(火) 5月限 6月限 7月限 8月限
ブレント原油 101.89 98.33 94.09 90.42
オマーン原油 139.64 114.39 110.15 106.43
価格差 +37.75 +16.06 +13.06 +16.01
3月23日(月) 5月限 6月限 7月限 8月限
ブレント原油 114.08 109.47 103.89 99.06
オマーン原油 160.20 141.47 136.39 130.43
価格差 +46.12 +32.00 +32.50 +31.37
3月20日(金) 5月限 6月限 7月限 8月限
ブレント原油 107.62 103.64 98.36 93.81
オマーン原油 157.94 153.07 147.75 143.34
価格差 +50.32 +49.43 +49.39 +49.53
3月19日(木) 5月限 6月限 7月限 8月限
ブレント原油 114.36 108.64 102.55 97.39
オマーン原油 166.96 162.50 157.74 153.59
価格差 +52.60 +53.86 +55.19 +56.20
●プラッツドバイ原油でも1番限(当限3月限)下落
ドバイ原油でも当限3月限が大幅に下落した。
プラッツドバイ原油1番限(3月限)は「1カ月間の平均値」です。
プラッツドバイ原油も「3月1カ月間の平均値125-127ドル」あたりに向けて下落している。
CMEプラッツドバイ原油
日付 3月限 4月限 5月限 6月限 7月限 8月限
3/27(金) 128.490 109.815 99.317 94.646
91.298 88.633
3/26(木) 129.994 105.188 98.016 94.189
90.996 88.680
3/25(水) 130.932
99.614 93.125 89.939 87.639 85.701
3/24(火) 133.596 109.030 97.445 92.737
90.060 87.940
3/23(月) 131.969 105.705 92.726 88.575
86.066 84.123
3/20(金) 134.068 112.835 100.221 95.665
92.656 90.278
3/19(木) 137.822 108.650 96.458 93.349
91.017 88.909
●アジア向け中東原油「3月125-127ドル」
米国とイスラエルがイランを攻撃し、中東原油の「安定供給」が損なわれたことによって、
3月19日のオマーン原油「166.96ドル」、ドバイ原油「166.79ドル」の最高値をつけた。
ドバイ原油とオマーン原油が「ICEブレント原油+50ドル超」のプレミアムに噴き上げた。
しかし、アジア向け中東原油の3月第3週の高騰は、世界市場における大きな不均衡であった。
サウジ原油の欧州向け価格とアジア向けに、持続可能ではない不均衡が発生した。
サウジの輸出価格は、アジア、欧州、北米によって「価格フォーミュラ」の基準が異なる。
(ⅰ)アジア向けは「ドバイ原油およびオマーン原油の1カ月間の平均値」です。
(ⅱ)北西ヨーロッパや地中海向けは「ICEブレント原油の加重平均値」です。
(ⅲ)サウジ原油の米国向けは「ASCI」(米メキシコ湾岸地域で取引されるマーズ、ポセイドンおよびサザン・グリーンキャニオン原油の平均値)を基準にしている。
3月第2週に、ドバイ原油やオマーン原油が「ICEブレント+50ドル」に高騰したことは、
サウジアラムコの「価格フォーミュラ」で輸出価格を算定すると、
アジア向け輸出価格が1バレルあたり「欧州向け+50ドル」に噴き上げたことを意味する。
アジア向け中東原油の指標が「ブレント原油+50ドル超」の水準で月末まで推移すると、
オマーン原油およびドバイ原油の一カ月間の平均値は「1バレル140ドル以上」になる。
3月のオマーン原油、ドバイ原油の一カ月間の平均値が「1バレル140ドル台」で確定すると、サウジ原油の主力油種「アラブ・ライト」「アラブ・エキストラライト」のアジア向け3月輸出価格も「1バレル140ドル以上」になる。
しかし、それでは「中東原油のアジア向け輸出価格」が欧州や北米との間で不均衡を形成する。
ドバイ原油およびオマーン原油の市場価格が「ブレント原油+50ドル」に噴き上げると、
国際的な原油市場の価格形成に著しい不均衡が拡大する。
当社の仮説として、3月の「月末確定値」に向けた数日の営業日の中で、3月第3週の「-50ドル」幅の「調整」が進展したと考えています。GMEオマーン原油は毎月、月末納会前の4~5営業日前になると「ややこしい調整」を繰り返していた。しかし、今回の3月相場ではGMEオマーン原油だけでなく、OPECバスケット価格も、プラッツドバイ原油も、すべての中東原油の指標が「1バレル125-127ドル」に向けて「調整」した。この3月第3週のアジア指標の「調整」では、ブレント原油は「3月9日」でサポートした。
サウジアラビアの原油輸出の「価格フォーミュラ」
アジア向け調整項
サウジ原油のアジア向け本船渡し価格(FOB)は「ドバイ原油およびオマーン原油の1カ月間の平均値」に対する「各油種の調整項」で表示される。
油種 2月積み 3月積み 4月積み
スーパーライト +1.95ドル +2.15ドル
+4.15ドル
エキストラライト +0.80ドル +1.00ドル
+3.00ドル
ライト +0.30ドル ±0.00ドル
+2.50ドル
ミディアム -0.85ドル -1.25ドル
+0.75ドル
ヘビー -2.20ドル
+2.60ドル ―0.60ドル
西ヨーロッパ向け調整項
サウジ原油の北西ヨーロッパ向けは「ICEブレント原油」に対する調整項で表示される。
油種 2月積み 3月積み 4月積み
エキストラライト +1.25ドル +0.95ドル
+4.45ドル
ライト -0.35ドル -0.65ドル
+2.85ドル
ミディアム -1.15ドル -1.45ドル
+2.05ドル
ヘビー -3.55ドル -3.85ドル
―0.35ドル
米国向け調整項
米国向けは「ASCI」(米メキシコ湾岸地域で取引されるマーズ、ポセイドンおよびサザン・グリーンキャニオン原油の平均値)に対する調整項で表示される。
油種 2月積み 3月積み 4月積み
エキストラライト +4.05ドル +3.95ドル
+5.95ドル
ライト +2.20ドル +2.10ドル
+4.60ドル
ミディアム +1.70ドル +1.40ドル
+3.40ドル
ヘビー +0.95ドル +0.65ドル
+2.65ドル
●4月「月替わり」の「ブレント/ドバイ」の価格差について
中東原油の輸出価格(本船渡し条件)は「市場価格」と「調整項」によって構成される。
ドバイ原油やオマーン原油の市場価格が3月第2週のように「ブレント原油+50ドル」にぶっ飛ぶと、アジア、欧州(北西ヨーロッパ、地中海)、北米で、著しい不均衡が拡大します。それは持続可能ではないので、3月「基準値」確定前に「-50ドル下げ」で月間平均値を調整したと考えています。そして、そのことは来月4月相場の指標になる「ドバイ原油やオマーン原油の2番限」でも同じです。中東原油の「安定供給」が損なわれているなかで、それが「長期化」した場合でも、もはやドバイ原油やオマーン原油が「ブレント原油+50ドル」を買うことはない。
本日3月30日(月)の目安
中東危機が長期化するとき「安定供給」のプレミアムをどう評価するか?
中東原油の「安定供給」が損なわれているなかでも、それが「長期化」した場合でも、「ブレント/ドバイ」の価格差は持続可能な水準で形成されると思います。
すでに中東原油「ブレント原油+50ドル」のぶっ飛んだ水準は3月第3週に是正した。
3月の「月末確定値」から「4月への月替わり」という「ややこしい局面」ですが、
ブラッツドバイ原油2番限2026年4月限、GMEオマーン原油2番限2026年6月限は「ブレント原油+4~5ドル」が目安になる公算が大きい。ICEブレント原油2026年6月限が「107ドル80セント」であれば、プラッツドバイ原油2026年4月限は+4ドル50セント、「112ドル30セント」が目安です。
現在の「月末」「月替わり」では下記を目安にします。情勢が変わると目安も変化します。
本日3月30日(月)朝の試算
プラッツドバイ原油 2026年3月限= 3月1カ月間の平均値
プラッツドバイ原油 2026年4月限=「ブレント原油6月限 +4.50ドル」 112.30ドル
プラッツドバイ原油 2026年5月限=「ブレント原油7月限 +0.50ドル」 101.30ドル